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「ゴールデンスランバー」
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    ある日突然凶悪事件の犯人になってしまったら!?
    手に汗握る逃亡劇にドキドキしながら読みました。
    大きな陰謀の渦に巻き込まれ、逃げ惑う主人公青柳。彼を追い詰める警察。
    命令が下れば、警察は容赦なく青柳を拳銃で撃ち抜くだろう。それが善か悪かは一切関係なく―――警察組織の恐ろしさを感じさせられて、うすら寒く感じてしまいました。作者は一応警察の良心として、一人の刑事だけは口封じと証拠隠滅に意義を唱えるという設定を入れていますが、その刑事は結局退職に追い込まれており、やはり警察組織とその背景のおそろしさというものを強調しているように思えました。
    昨今の監視社会、メディアの問題にも触れていて、いつも思うのですが、彼の作品は娯楽的でありながら、社会派のようでもあり、考えさせられる場面が多々あります。人々の無関心、無責任な報道、冤罪。いろいろなことが作中には描かれていました。

    主人公が逃げる途中、さまざまな人々と遭遇することになります。ラストに向けては、主人公が通報されたり疑われたりしながらも、”信頼”という言葉を信じて自分の命運を掛けるところが良かったです。彼には善意の協力者たちがいて、例えば一番最初に主人公がはめられたことを教えてくれた森田森吾や、主人公と電話で連絡を取り合ったわけでもないのに息の合った連携を見せた樋口晴子などですが、それらが功を奏し、主人公をステージへと導いていく。

    キルオなる連続殺人魔の協力などは現実には起こり得ない事かもしれませんが、小説だからこそ描けるというか、権力に立ち向かおうとする主人公たちが清々しく、美化されすぎずに描かれていて、思わず応援しながら読んでしまいました。
    2008年本屋大賞受賞作です。さすが、というべきでしょうか。
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     (あ行)伊坂幸太郎 * comments(0) * trackbacks(0) * - - * moji茶

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