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「遠い朝の本たち」
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    須賀さんが昔読んだ、思い出深い本についてのエッセイ集です。

    戦前、戦後のブルジョアな感じの須賀さんが良い。当時の小学生がベッドで寝てるなんて信じられん(笑)。そのベッドの上で読んだ童話集や物語への思い出を須賀さんが懐かしい感じで語っています。
    小説を読み合ったしげちゃんや、一緒にベッドで読書をした妹、本を読み聞かせてやった弟・・・その時の本にかかわった家族や友人との思い出、現在の視点も一緒に語られて、それが時に切なかったり面白かったり。私は一冊の本に対して、須賀さんのように深く広く思考を馳せたことがあっただろうか・・・。

    お話の中では、「父ゆずり」の最後の文章が好きです。「父との確執」とか言ってみたい(笑)。父の死後、本を通じて心を通わせる部分が切ないです。私も、何かを通じて父と語り合いたくなるような時が来るのだろうか。「確執」を感じるほど、私と父親の関係は濃いのだろうか、と考えさせられました。「平家物語」は、一度古典できちんと読んでみたいですね(途方もない!)。
    史伝に対する須賀さんの考察も面白かったです。私は史伝がふつうに面白く感じたので、文体まで意識がいかなかったのですが、須賀さんの読みの深さを畏怖します・・・。

    「葦の中の声」というお話にでてくる、アン・リンドバーグの著書の抜粋も好きです。

    さようなら、とこの国の人々が別れにさいして口にのぼせる言葉は、もともと「そうならねばならぬのなら」という意味だとそのとき私は教えられた。「そうならねばならぬのなら」。なんという美しいあきらめの表現だろう。中略この国の人々は、別れにのぞんで、そうならねばならぬのなら、とあきらめの言葉を口にするのだ

    いつも使う言葉だけど、そんな思いで言った覚えはないです(笑)。
    この話を読んで、「さようなら」って武士らしい潔い言葉だなあと思いました。

    他にもサンテグジュペリの「人間の土地」が出てきたりして、ものの見方とか、絆とか、そういうものも考えさせられました。須賀さんて、いい本を読んでるんだなあ・・・というより、いい本を見つける力があるんだろうなぁ。私はいい本だと気づかないまま、その本をブックオフにやってるんだと思うとちょっと反省。

    「人間の土地」は、堀口大学訳で持ってましたが、書かれてあることが回りくどくて解りにくくて、そのままブックオフに行きました!自分、ダメ人間!

    タグ:須賀敦子 遠い朝の本たち ちくま文庫
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