2012.04.29 Sunday
「舟を編む」
この作家さんて、本当に言葉を使うのが上手だなあと思う。どんどん読まされてしまうので、あっという間に読了です。しかもめっちゃ面白かった。
一冊の辞書、『大渡海』出版にいたるまでの13年にわたるドラマです。
辞書ってこんな風にできあがるんだなあという興味深さと、一生懸命仕事をしながら、それぞれに悩み、突き進んでいく主人公達に惹かれてずっと読みました。
「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」
「海を渡るにふさわしい舟を編む」
生命活動が終わっても、肉体が灰となっても。物理的な死を超えてなお、魂は生きつづけることがあるのだと証すものー
死者とつながり、まだ生まれ来ぬものたちとつながるために、ひとは言葉を生みだした。三浦さんの表現って好きだぁ〜。
私も職業柄、言葉や辞書には気を使っていますが、こんな表現で言葉をとらえたことはないです。辞書が舟だとは。
西岡や松本先生など、脇役も味があってとてもよかったです。
西岡の軽薄っぷりときたらもう(笑)。でも、『大渡海』の売り上げが予想以上に伸びたのは、絶対西岡の陰の尽力だよなあと思うと、評価されない働きというものの大切さも思い知ることができます。
仕事って、「こだわり」が大事ですよねぇ。
自分にはまだそこまでの「こだわり」が無いように思います。毎日忙しく、楽しく仕事してるけど、「こだわり」があればもっと面白くなるのかなあと、この小説を読んでちょっと思いました。
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