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「さぶ」
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    山本 周五郎
    新潮社
    ¥ 660
    (1965-12)
    Amazonおすすめ度:

    読者大賞blog様のところにエントリするため、以前書いた記事を復活させてみました。かれこれ三年も前に読んだ本。
    HPのほうに眠っていたのを掘り出してきました。今までたくさんの本と出会ったけど、面白くて泣いて、感動して、出会う人すべてにオススメしたい本て少ないです。
    でもこの本だけは絶対オススメ!
    誰が読んでも感動する・・・・と思うよ(最後に気弱;)
    では以下に、3年前の駄文をそのまま掲載するにはあまりにも恥ずかしいので、ちょっと手直ししたものを載せておきます ↓

    本当に感動しました。最初から最期まで泣き通し。
    栄二の悲劇に、さぶのひたむきさに、おのぶの生き方に泣く。
    主人公の栄二が、3年にわたる人足寄場での労働の間に、自分に降りかかった災厄のすべてを許していくところは本当に感動する。
    そしてこの作品をすべて読み終わった後、この本の題名が「さぶ」であることに一層感動しました。
    このさぶという人物が本当に愛すべき人間なのだ。ずんぐりしていてどもり屋で、要領が悪い。でも最後の最後に一番頼りになるのだ。誠実で優しくて・・・人を信じる強さがある。
    おすえよりさぶと結婚しろと栄二に言いたい。おすえいらん。

    この作品の主人公は、完全に栄二だと思います。
    でもどうして題名が「さぶ」なのか。それは、この作品のテーマが「善意」だからだとわしは思います。
    善意とは、「見返りを求めない行為、無償の愛」だとわしは勝手に定義します。
    栄二とさぶは幼い頃からお互いをささえあい、かばいあって生きていきます。特に前半生はさぶの駄目なところを栄二がことごとくフォロー。
    人生の前半は栄二がさぶを。そして後半はさぶが栄二を支える。その態度に一切見返りをもとめるような態度はありません。
    血は繋がっていなくとも、家族のように二人はお互いをいたわりあいます。そしてこの作品のなかで、最大の善意を象徴するのはさぶでしょう。
    さぶは、不幸にも犯罪者となり人足寄場で暮らす栄二を心配し、どんなに邪険にされても人足寄場まで通い続けます。その間のさぶの態度には一切の邪心が感じられません。それどころか、さぶは最初から最後まで善意のかたまりです。そしてさぶの愚かなまでの善意の積み重ねが、栄二やそのまわりの人たちの運命をもかえていく。
    さぶの愚かなまでの善意が、じつにゆっくりと、確実に、みんなの運命を救いにむかわせているのです。その過程は読むうちにそれとなくわかっていくのですが、救いの先にさぶがいたことがわかる瞬間が実にすばらしいです。

    他に気になった点といえば、この作品では、おのぶという女性の口をかりて、他人に依存せず、強く生き抜こうとする女性の問題にふれているところでしょうか。
    社会で女性が男に頼らず生きていくということ。結婚ということ。
    おのぶの口をかりて著者は女性が社会でいかにして男性と対等に生きるかということを書いています。
    そして、女性が社会で男に頼らずにまっすぐ気丈に生きていく姿をおのぶに重ねて描いているっぽかった。おのぶはとても不幸な星のもとに生まれたけれど、それを持ち前の根性で跳ね返し、人生を切り開いていく。強く、しっかりしていて、それでいてかわいらしく一途なおのぶ。
    そんなおのぶよりも、己を無実の罪に陥れたおすえを選ぶ栄二、という設定も惹かれた。おすえとの不思議な縁。
    おすえは自分の弱さから他人を不幸にまきこんでしまう、ずるくか弱い女性。おのぶとは正反対。そんな弱いおすえを許して、二人で手を取り合って生きていこうとする栄二がまた感動するのです。

    「袖振り合うも他生の縁」と言いますが、知らず知らずのうちに他人の人生に関わり、長い時間をかけて関わった縁や報いが巡ってくる。大きな運命の歯車からは逃れられず、受け入れるしかないけれど、本人の生きる姿勢によって、運命は様々に変化するのです。
    人生本当に「縁」が大事なのだ。

    読む人によって感動どころは違うかもしれませんが、栄二とさぶ、この二人の友情に感動しない人はいるまい。とにかく感動。潤いたい人にオススメ。渇いた心をきっと癒してくれるはず。
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    小説 * comments(2) * trackbacks(1) * - - * moji茶

    comment

    こんばんは。エントリありがとうございました。「さぶ」いいですよね〜。本棚から掘りおこしたので、また近いうちに再読します。思い出させて下さって嬉しいです。
    この本は大学の時に読んで、凄い感動して、当時仲が良かった男の子に薦めたら「面白くない」といわれ(ちなみに奴が好きなのは辻仁成でした・・。)かなり幻滅したのを覚えてます(笑)
    ざれこ * 2006/06/01 1:05 AM
    こんばんは。「さぶ」で山本周五郎にハマりました。
    まんまとやられましたYO
    でも男の子にはウケなかったのねん・・・(-L- )ガックシ

    辻仁成の本は一度も読んだことがないので知りませんが、めっさクールな感じがします。
    熱い汗ほとばしるような本は嫌いだったのかしら・・・。
    moji茶 * 2006/06/02 4:03 PM









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    - * - | 2006/06/06 2:50 PM