2006.03.09 Thursday
「砂漠」
麻雀、合コン、バイトetc……普通のキャンパスライフを送りながら、「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。日本全国の伊坂ファン待望、1年半ぶりの書き下ろし長編青春小説!
amazon.comより
やっと読み切りました!最近一日一日がすごく早くて驚きます。
「死神の精度」がかなりよかったので、勢いで「砂漠」にも手を出してしまいました。
この本を読んでまず思ったのは、伊坂氏はひきだしが多いなあということ。
いろんな技法や構成を使い分けて書いてます。技の多さに驚きました。
キャラクターは当然濃いし、彼特有の現実から乖離した設定も不思議と違和感なく作品と読み手に馴染んでいます。
こういう小説は村上春樹あたりを彷彿とさせる・・・。羊男的な不思議設定小説とでも言いましょうか。
麻雀を通して仲が結ばれ、トラブルメーカーの鳥井と怒れる哲人西嶋の二人を軸にして起こる事件が鳥瞰型の冷めた主人公を変えていく。そして主人公も鳥井や西嶋をかえていく。たった四年間だけどだんだん濃くなっていく友情が、自分の学生時代とかさなってじんときました。
しかし最近「死神の精度」と今作品だけかもしれませんが、引用が多い・・?昔からそうでしたか?最近だけ?
「人間の土地」なんかからも結構引用されていて驚きでした。この本て結構哲学的というか、「星の王子様」同様言葉だけをおっていると本質を見落としそうというか・・・わしにとってはかなり難しい作家さんです。
作品中に今の社会問題なんかも盛り込まれていて、それに対する意見に引用されていたりする。だからって「砂漠」がメッセージ性の高い小説かといえばそうでもないんですけどね。
