2005.01.01 Saturday
「家守綺譚」
時代は明治大正あたりでしょうか。主人公の棲む場所はまるで異次元との境目にでもあるかのように不思議な出来事が度々おこります。それがまたとても幻想的で、美しい情景が眼前にひろがるようです。
そして住人も不思議な人ばかり。狸や花の精なども登場します。
ちょっと夏目漱石の「夢十夜」を思い出しました。
夢かうつつか、静寂と幻想の世界。
時々たずねてくる、異世界にいってしまった親友との語らい。
このシーンだけいつもなんだか寂しいカンジがしました。
文体もちょっと昔っぽい言葉使いになっていたり、作品の演出も凝っています。
ああ、かなり好きです。雰囲気がいい。
各章が花の名前なのも洒落ています。
自然豊かで浪漫あふれる一人称小説。これはイケる!