2005.12.02 Friday
「カラフル」
話が進んでいくにつれ、どんどん気分が晴れていくこの爽快感。森絵都作品は、元気が出たり慰められたり、癒し系が多いと思います。
ひょんなことから、自殺した少年の体にはいることになった少年の魂のお話。
彼は”小林真”として一年間を全うし、かつ己の罪の記憶をとりもどさなければならない。さもないと彼は命のサイクルからはずれて再生の道はなくなってしまう。
果たして彼が犯した罪とはいったい・・・?
どうせ借り物の体だし、こんなこと乗り気じゃないんだけど・・・ということで、結構無責任に現世をエンジョイする主人公。次第に少年らしく妥協できない色々な出来事とぶつかって、真の家族ともぶつかったりする。
そうやって悩んだり苦しんだりしている姿は真そのもので、時間がたつうちに初の友達もできた。受験も控えてるし描いている絵も完成させたい。でも自分はいつまでもこの体にいるわけではない。いつか出て行く借り物の体で・・・
というように、最初乗り気でなかった少年が現世に執着を持つようになるまでの変化がとても上手に表現されていると思う。
15,6歳ごろの、大人にはわかりっこない大切なこと、友情、恋愛。森さんは、そういうものを書かせるとうまいなぁと思ってしまいます。わしはもう忘れつつあるけど・・・。この人の本を読むと、ああ、そうだったなあ・・・と懐かしい思いがします。