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評価:
森見 登美彦
幻冬舎
¥ 1,575
(2007-09-25)
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第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?!
時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。
↑の通り主人公は狸です。狸と天狗が京都の街に
ひっそりとがっつりと暮らしています。もしかしたらあなたの隣で本をよんでいるあの人も狸かもしれません。
主人公の矢三郎が飄々としていて良い。弁天もミステリアスな女性で魅力的でした。
赤玉先生もいつまでも弁天の尻の夢をみていて良い。(え)
次代「偽右衛門」は誰が襲名するのか?
父親を狸鍋にした犯人とは?
蛙になった次兄はもとにもどれるのか?夜の街を爆走する偽叡電とは?
今年は誰が狸鍋にされるのか?金曜倶楽部とは??
様々な面白人物や怪事件の連続の中で、淡々とした作者の擬古文調が妙ないかめしさとおかしさをかもしだしております。この人の文体好きだ。(*´ー`)
森見氏はどこから言葉をひっぱりだしてるんだろう。いつも驚きます。
「兄ちゃん、珈琲も牛乳も美味しくないのに、珈琲牛乳はなぜ美味しいの?」
「それは相乗効果さ」
「ソージョーコーカってなあに?」
「運命の出逢いということだ。そうなると何でもうまくいくものだ。」
↑上のような会話とかすごく好きなんです・・・。俗な話なのに妙に高尚ぶった感が良い。
矢三郎いいね。矢四郎のカタカナっぷりもかわいいね。
森見氏の作品は全作品密かにリンクしているので、この狸たちも全作品の中にいるかも、と思うと余計楽しい妄想が広がります。
詭弁論部とかにフツーに出入りしてそう。パンツ番長との決戦のワンシーンにもまぎれてそうですよね・・・。