|
角田 光代,穂村 弘
河出書房新社
¥ 572
(2014-11-06)
|
今を時めく角田さんと穂村さんが「異性」を題材にリレー形式でエッセイを綴る!
角田光代さんの作品は、実は小説は「キッドナップツアー」くらいしか読んだことがなくて、かの有名な「紙の月」だとか「八日目の蝉」だとかは全てスルー。彼女の作品として印象的だったのは、エッセイ「しあわせのねだん」でした。
部屋の大きさも把握せずに冷蔵庫を買って、案の定部屋に入らなかったりだとか、風呂が嫌いだったりだとか、面白エピソードがたくさんあって、何てこの人は面白いんだろう!と思ったのでした。
そして穂村さんについても、歌人としての彼のことはほとんど知らなくて、これまたエッセイの「本当はちがうんだ日記」で知ったのです。
10年間通ったジムで一人も友達ができず、バーベルを上げたり下ろしたりするばかりで「修行僧」とあだ名がついた彼・・・。笑いなくしては読めない。なんて面白い人生なんだ。いや、なんて面白く日常を切り取れる人なんだ!
そして、この本はその二人のリレー形式のエッセイなんですよ。読むしかないでしょう。
色々と異性について議題は尽きないのですが、その中でも印象的だったものは、「ブスは性格が良くて、美人は性格が悪い」という議論。角田さんからの議題でしたが、こういう話題、女子なら思春期のころ必ず思ったり話したりしたんじゃないかなあ。
かくいう私もそうだと思ってた時期がありました。今思えばそれは劣等感からくるものだったりひがみだったり、自意識過剰すぎただけだったような気がしますが、そういうもやもやの時期を通り越した時、急にテレビの向こう側にいるかわいい女の子を素直にかわいいと思てるようになったり。不思議ですねぇ。
加齢というものにも考えさせられました。
他にも、今の自分にはそこまで価値がないかもしれないが、いつかきっと開花する。そんな自分の可能性を見つけてくれる男性がいつか現れてくれるはず、とか、自分の真のよさに気付いてくれる男性がどこかにいるはず、とか、自分でもよくわからない妄想を男性に他力本願する話も面白かったです。わざわざおしゃれしなくても、ノーメイクでも、ズボラでも、そんな自分の中に宝石のようなものを見つけてくれる人が・・・って、そんなわけねーじゃん、とすっかり冷めた視点に至るところまで描かれていて面白かった。少女漫画読みすぎるとこうなるよね・・・。
後は、男はどうして別れた女のものを後生大事にとっているのか、とか。
曰く、男は昔付き合った女を自分の「資産目録」に組み入れてしまうので、たとえ別れたと言っても財産の一部と考えているからだ、という意見には目から鱗。
ものの捉え方が男と女でこんなに違うのかぁ、と思わせられたり、そうそう!その通り!と共感させられたり。
どちらかと言うと、角田さんの方がぐんぐん攻めていく感じの文章で、穂村さんはそれを受けつつ鋭く切り返していく感じで、リレー形式のエッセイであり、対談であり、お二人の会話から「異性」について考えさせられることが多かったです。