「従順さのどこがいけないのか」
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    作者名がいかつすぎてしばらく話の内容がないって来なかったです。

    ちくまプリマー新書はだいじなところが太字になってるし、講義のような文章だから読みやすいです。学生向きになってるのかな?

    共通善についてわかりやすく解説しているのでよほどのことがない限り読みはブレないと思います。

    ナチスの例やルターの例など、柔順さにも色々あることなどもわかり、権力に抗うには覚悟がいることなども書かれていて、私くらいのおばちゃんなら、まあそんなもんよな〜で読めた。

    この本で共通善がわからないならプリキュアとかウルトラマン観たらいいよ。善についてちゃんと考えられるようになってるから。日本のアニメって素晴らしいよね。

    と話が盛大に逸れて終わります。

     

    息子の影響で観ていたウルトラマンゼットは共通善についてもジェンダーについても考えさせられるし、自己犠牲とはなにかとか、諦めないということとは、とか公務員とはとか、ちゃんと全部子どもが学べるよう作られてる。泣ける。

     

    ご唱和ください!ウルトラマンゼーェーット!

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    「戦場の秘密図書館」
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      内戦下のシリアで、秘密の地下図書館を作った若者たちを追ったルポ。

      反政府勢力のダラヤは爆弾が日夜降り注ぐ街らしく、実際どんなもんかとグーグルマップで検索したら本当に隙間もないほど砲弾のあとが地面にも屋根にもあるので、この街で抵抗を続ける民衆も、街に砲弾を落とし続ける政府側も、頭おかしいんじゃないかと正気を疑う。そもそも戦争の発端が子どもたちの落書きの「次はお前の番だ」から始まるのも大人げないし日本に住んでて本当に良かったなって思う。為政者の器の大きさって大事。

       

       

      でも、そんな街に未来と希望を見いだして抵抗勢力として残った人々が癒しとして求めたのが図書館というのが感動した。銃撃戦の休憩に訪れては英語を学んだり哲学を議論する。

      本とは。文学とは。懸命に生きる人々を支える図書館に深く感動したし、管理をしているのが少年というのもまた・・・。

      シリアの人々の強かさと美学を感じる読書になりました。

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      「公家源氏」
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        源氏といえば武士!というイメージをそっと塗り替えてくれる本ですが、天皇の多さと系統の煩雑さでとりあえずの大筋はつかんだけどごめん名前は全く頭に入らなかった・・・。

        村上源氏は息長く活躍したってことと、ずっと昔から公家は藤原氏に遠慮してたんやなってことは覚えました。源氏物語にもそういう社会背景が反映されていたり、お寺の偉いさんを勤めた源氏のお歴々などの紹介も面白かったです。どうして仁和寺の法師のエピソードはアホなのが多いのかという理由も、この本を読めば納得です。大きなお寺の座主や長者はだいたい尊い家系の方が務めますよね・・・。あと摂関家の発生から消滅までを追えたのも良かった。大昔に勉強した日本史で、あれこれと覚えさせられたあんなことやこんなことのバラバラな事項が、公家源氏を軸にして自分なりに納得できる感じで読めました。とにかく何度もいうけど名前を覚えるのが無理すぎて、この人は何天皇の何番目だとか、いま筆者が出したこの人は誰の子供なんやと、系図も丁寧にのせてくれてるんだけど、いちいちさかのぼってきりがないし覚えられないし色々と無理。

        とても勉強になる本だったことには違いないので★4つです。

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        「子どもに貧困を押しつける国・日本」
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          貧困が引き起こす問題について様々なことが書かれていて、なるほどなと思い勉強になった。
          貧困から引き起こされる害として、子供に必要な栄養が与えられず、親が働きづめなため必要なしつけも甘えも十分に受けられず、教育費が払えないので進学もあきらめねばならないということなどがあげられる。
          貧困が引き起こす問題は広く、深い。
          日本の将来を誰がつくるのかといえば、勿論子供たちで、その子どもたちが十分な教育も受けられず朽ちていくとすれば、国家の大問題だ。もっと教育や福祉を充実させてほしいと思う。
          しかも日本では、離婚も出産も子育ても全て自分で選んだことで、たとえ子育てに困難や不具合が起きても無慈悲な対応と視線にさらされ、全て自己責任で片付けられてしまうので、生きにくい国だなと思った。
          この国で子どもを産み育てるということがどれだけ重いことかを思い知らされた本だった。
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          NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ
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            高等遊民のような一般的にはとても「先生」と呼びがたい人びとに、漱石が「先 生」の呼び名を与えたのは、彼自身が生きた明治の時代がリーダー不在の時代で、理想なき若者が増えていくなか、新しい手本として登場させたという論は面白かったです。教師や政治家にではなく、自分が「この人だ」と見込んだ人がすなわち「先生」であるという、「名よりも、実を求める」漱石の気持ちの表れによるものだという説は頷けます。
            漱石作品とその時代をリンクさせた年表や、先生の年表などがあるのもありがたい。
            「先生」と呼ばれることの多かった漱石自身、教師としては大変熱心で、若い人を育て導く漱石の一面も再確認することができました。だからこそあれだけ多くの弟子もいたのでしょう。上からではなく、自分の持っているものを分け与えるというスタンスの漱石は、当時の教壇では大変ユニークに学生のに写ったのかもしれませ ん。
            Kの自殺の原因が孤独というのは小説を読めば察することができることで、著者特有の論ではない気がします。
            「私」がKに言ったこと、仕出かしたことがどれ程Kを傷つけたか、孤独を際立たせたか。Kには帰るべき家がなく、すがる友もいない。信じてきた道は恋によって奪われ、進退極まる・・・からの、死。煩悶死。
            孤独で寂しいから、ではなく、本当に行き詰まったんだろうな、というのは読んで伝わってきます。そのことに当時の若かりし「私」は気づかず、恋の裏切りによって親友を死なせたと誤解する・・・これもKの真実を理解しないという点で、Kを二回殺してますよね。
            恋に我を失った男同士の悲劇。
            他に、Kと「私」のやりとりがエドガー・アラン・ポーの『ウィリアム・ウィルスン』に着想を得ているのでは、という説は面白かったです。Kが善良をにない、私が悪をになう。一心同体の彼らは、片割れが死ねば、その片割れも死んでいくしかないという設定は、是非とも読んでみたいし、確かに私とKにも当てはまるような気がします。
            お嬢さんに対しての言及も面白く、先生がなぜ妻には何も話さずに死んでいくのかについては、「自分達を狂わせた張本人に、真実は教えてやらない」という理由に背筋が寒くなりました。
            私とKは同郷の幼馴染みで、私が部屋を分けて住まわせてやるくらいの仲です。その仲に突如現れたお嬢さんという存在は、罪悪でもあり、神聖な存在でもあったでしょう。彼らの仲を永遠に引き裂くだけの魔力をもっていたのです。
            誰も幸せにならない小説だ、と著者は指摘していますが、まさにその通り。
            先生の余生は、「態度価値」だという指摘は、造詣深すぎて脱帽です。そんな言葉があるんですね。彼の生き方を読めば、彼の主張したいことは何となくわかるけど、それを明確な言葉と名前にしている精神科医が既にいました・・・。漱石くらいを読みこなそうと思えば、様々な知識がいるんだなぁ。
            この主要三人のこころを想像すると、現代人の抱える思いや悩みは、ここに帰結すると思うのです。
            そんな小説を書いた漱石は、あの時代に生きながら、現代人より現代人らしかったのかもしれません。
            なのに、Kも「私」も死んでしまうこんな小説を書いた漱石は、『生』の肯定者だと著者は訴えるのです。その根拠となっている『硝子戸の中』は是非読まねばなりませんね。
            先生の遺書を託された「私」は看取り人であり、先生から信頼された唯一の人であり、死ぬ機会を与えたという人でもあります。Kと先生の生の歴史を受け取っ た私は、次は誰に引き継ぐのか。
            一見人が死んでばかりの小説ですが、その歴史を繋いでいくという視点で見れば、これは生の小説でもあるという著者の読み は、納得させられる部分が多く、まだまだもやもやは残るものの、一つの『こころ』の読みとしてはアリだなと思いました。
            面白かったです。
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            「最貧困女子」
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              第一章からかなり衝撃を受けた。親、親戚から見放され、孤独のなかアルバイトで生活を繋ぐ女子、貧しくとも地元に根をはって、コミュニティーの中で支え合って生きていく女子。
              貧困にもいろんな貧困がある。
              お金がないのは「貧乏」。
              お金も仲間も制度的な援助も無いのが「貧困」。
              貧乏は、貧しくとも仲間がいて、住む場所があって精神的には豊かに暮らせるけど、貧困の方は草も生えない。
              第一章を読んだだけでどっと疲れた。社会の闇に消されていく弱者が赤裸々に描かれていると思う。
              第二章も重かった。
              貧困女子の発生は生い立ちの不幸さから始まるが、軽度の障害を併せ持つと不幸しか生まれない。虐待に耐えかねて家を出て、身体を売って暮らす少女たちは、家賃を滞納し、相談することを知らず、警察や保護施設を恐れ、市役所の手続きをこなす能力をもたず、ある日ふっと蒸発してしまう。
              学力、コミュニケーション能力は、本来小さいころからコツコツと身に着けていくもので、大部分を親が担うはずだが、ここに登場する最貧困の女子たちはそこが抜けており、生きていくすべが欠落している。
              発達障害と最貧困は切り離せないようで、本書には発達障害を抱える女子の例が多く紹介されていた。
              どれも衝撃的でため息をついてしまう。
              なかには離婚を機に自分の発達障害に気付かされたり、その障害のせいで離婚手続きや親権請求の時点で様々な困難を生んで、精神を病んでいくタイプもあるそう。離婚する女子のなかでも、這い上がれるかどうかは結局、その人のもつ地頭の良さによるのだろうなと思った。
              ただ、現代だから特にこういう現象がおきているわけではなく、昔から技術もなく知識もない人は定職につけないわけで、その上コミュニケーション能力のない人は村八分になり遠ざけられてたんだと思う。
              国民全員が豊かな暮らしを、という考えは素晴らしいが、実際は難しい。
              そもそもの教育、しつけを受けていない時点で、この最貧困女子たちを自己責任と言って責めることはできない。義務教育すら受けていないのだから、常識が欠落し、唯一の身体を切り売りせざるを得ないのだ。愛情を受けていないので、過度の恋愛体質でもある。セックスした男の数を自慢げに話すのは、寂しさ、心の貧困の証拠。
              読んでいて、草も生えないとはこのことだな、と思った。
              次に興味深かったのは、未成年の少女が売春にはまっていく過程だ。ここでもまず家庭環境になんらかの原因がある。家出をしたり、その日食べるものにも困っている女子にとって、先輩や同級生からの援助の声は渡りに船だろう。
              最初は軽い気持ちでも、次第に抜けられない負のスパイラルに巻き込まれていく。その際、頭が良ければ組織のドンとして搾取する側に回れるかもしれないが、知恵のない子は奪われるのみ。そしてまた草も生えない世界が広がる。
              売春にだって格差があり、ブスは買い手がないから安く売られるし、馬鹿は反抗するすべをしらないのでスカトロや獣姦などに回される。よって、ブスとバカの二重苦はいわずもがな。
              プロの水商売は、ある一定の容姿とコミュニケーション能力が求められるので、能力のないブス&バカの二重苦は路上で客を捕まえるか、素人専門の日当制の売春くらいしかないという現実。
              それでも生きていくしかない最貧困女子。日本のアンダーグラウンド。
               
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              「若者はなぜ『就職』できなくなったのか?」
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                2000年くらいから若者が就職できなくなってきた。でも、それは若者に原因があるのではなくて、不況のせいで企業が雇用数を減らしたため。

                雇用数を減らせば、必ずあぶれる人がでてくるのはしょうがないことなのに、日本では未だに新卒採用が尊ばれている状況があって、それが今の若者や親を苦しめている。
                偏差値偏重型雇用が導き出した昨今の闇。いい大学を出ても、もう就職できるとは限らない。
                狭き門となった就職先に生徒を全員就職させようと、大学が就職予備校のようになり、専門性を高める学府の姿は薄れてしまっているが、そこまでしても、全員は就職できない(当たり前)&専門性を身につけられない卒業生の排出という泥沼。
                そんな現状がわかりやすく解説してある本でした。

                今の高校の進路指導では、自分が何をしたいか、何に向いているかという「適性」を子どもに考えさせるカリキュラムが多いけど、実社会に出たこともない、人生経験の浅い子どもが自分の適性なんかわかるんだろうか。これは昔から疑問だったけど、著者も疑問を呈していたのでホッとした。
                自分の適性を若いうちから決めてしまわないで、好き嫌いせず何でも飛びついていったらいいと思う。この本にあるように、まずは色んな職業とライフスタイルを勉強してみて、あまり将来を決めつけないことが大事だと思った。
                そもそも、学校側だけがキャリア教育に取り組んでもしょうがなくないか?
                企業や社会が歩み寄らなきゃ、学校側の一方通行でしょ?雇用がないと絶対努力してもあぶれる子どもは出てくる。

                てか、せっかく大学に行くんだから、専門性を絶対磨いて欲しい。たくさんある分野の中から一つだけ、自分の遣りたいことを絞り、図書館に通い、友達と切磋琢磨し、先生と相談したり、本代を稼ぐためにアルバイトをしたり、そういう経験も、立派な社会経験じゃないの?4回生になって、集大成となる論文を書くという行為は、大変な体力とコミュニケーション能力が必要だったと思う今日この頃。
                どこにだって学びはある。
                キャリア教育とかいう怪しげなカリキュラムにイマイチなじめない自分がいます。
                 
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                「演劇入門」
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                  演劇におけるリアルの表現とは。
                  確かに、我々の日常と演劇が表現する日常には微妙な違いがある。その違いをできるだけリアルに近づけて行くにはどうしたらいいか。
                  なるほどな〜と思わせられることが多々。
                  演出家と役者、舞台と観客、この両者の世界観が同じになるようすりあわせる作業というものが必要になってくる。本当に面白い演劇とは、舞台と観客が一体となったものだ。一体となるために必要なものとは・・・。

                  どんな職業にも、やはりコミュニケーション能力が必要とされるんだなあと思った。「日本人には真の対話がない」と中島義道氏などが言ってたけど、もうそんなことを言わせてはいられない。「どれだけ人と話せる幅があるのか」ということが、役者の力量として問われるという記述にはなるほどな、と思った。

                  演劇のこれまでの社会的役割と、これからの可能性について書かれたところも勉強になり、よかった。

                  平田オリザwiki→





                   
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                  「子どもという価値」
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                     働く女性として賛同することが多かった。子どもは生みたいけど、自分の仕事に支障が出るのは困る。自分のキャリアアップの道が閉ざされるのは悲しい。でも仕事だけの人生は嫌。子どもがいる充実した家庭も欲しい。
                     避妊や不妊治療などの普及で、子どもは両親の意志でつくられる存在になり、親の価値を押しつけられる存在になった。そんな時代の子どもに親はどういう価値を見いだすのか。
                     時代や国家間による子どもの価値観の違いや、話は日本の少子化の原因から、日本の母親・父親の抱える問題、子育て論にも波及し、興味深く読めた。
                     共働きで子育てをすることに筆者はとても前向きで好意的な理論を持っていて、その理論に勇気づけられた。出産に怖じ気づいていたが、生むのも悪くないかもしれない。
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                    「対話のない社会」
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                      この著者の先生面白い。
                      読んでて何よりこのおっさんが一番面白い。
                      教授同士で首を締め合う喧嘩してたり、おっさんは元気だ。

                      でも、それ以上に、今の日本人の不感症っぷりと無関心さに危機感を覚えさせられた。

                      今、原発の問題などで政治家が色々バカやってるのに対して、落ち着きを忘れず冷静な日本人の様子を海外メディアは讃えてるけど、実はただの無関心と不感症の結果だったら怖いな・・・。

                      すべてをあきらめてしまった日本人。期待することを忘れてしまった日本人が今の現実なんじゃないでしょうか。






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