「みんなで読む源氏物語」
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    大体の話は知っているけど、特定の帖以外は特に深めたことがない源氏物語。大河ブームでいろんな本が出ているので、一番読みやすそうな本を読んでみました。

     

    お笑い芸人の方も寄稿していて、初心者からその道の人まで楽しめるよう幅広く出来上がってるのが売りみたい。

    とりあえずは、全部読まなくてもいいから、好きなところ、興味のある帖だけでも読んでみたら?という声かけから始まります。

     

    俵万智と安田登との対談や、海外翻訳された源氏物語の話、戻し訳から見えてくるあたらな発見、言語学からのアプローチなどは文学部国文学科には楽しいと思います。でも、特に高校の授業でもあまり源氏物語に触れてこなかった人には、ちょっと内容が難しくてついていくのはしんどいんじゃないかという感じでした。

     

    私は角田光代さんの源氏物語が読んでみたくなりました。当時の価値観ではなく、今の価値観に落とし込んでいるのが面白そうです。時代が変わり、着る服や制度が変わっても、変わらない「根幹」みたいなものが人々の中にあって、そこにささるものがあるから「源氏物語」は読み継がれているんだろうなと思いました。

    読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
    「地球星人」
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      評価:
      価格: ¥ 737
      ショップ: 楽天ブックス

      今話題の村田沙耶香さんの本を読んでみようと思い、SFばかり読んでいた続きでそれっぽい題名をチョイス。

       

      最初は自分を宇宙人だと思い込んでる不思議ちゃんが、次第に自分の現実を受け入れて大人になっていく話なのかな、と思って読んでいたんだが、全然違った(笑)。

      もうびっくりするくらい自分の予想と違いすぎて、斜め上というか遥か上すぎて絶句。

      読んでる間ずっと気持ち悪かった。不快すぎ。気色悪い。ゲ〜吐きそう。

      殺人だけではなく、人肉を食べるシーンが普通にあります。

      私、非現実だとわかっていても、人肉捕食は無理だわ・・・。ちょっとしんどかった。

       

      話の展開としては、塾の先生が登場したあたりから一段と不穏になり、まさかまさかの展開に。

      女子トイレから使用済み生理用品を拾ってくる先生きもすぎ〜!大学生〜!これは殺されても仕方がない。

      これ、好き嫌いめっちゃ別れる話やろうなぁ。

      主人公は最初から狂ってるんだけど、周囲の人間ももれなく少しずつ狂ってるし、善意の人間も狂ってるように見えてくる。

      この世界を「工場」として見ている主人公の目線は面白かったかな・・・。でも「わかる〜」とはならなかった。寄り添いたくないタイプの主人公です。

       

      ラストにむけて狂気が増すので、本当に救いがないです。怖すぎて一気読みするしかないと覚悟を決めてダダ〜!っと駆け込むように読んだけど、恐ろしすぎて、よくぞこんな話を思いつくなと感心してしまった。

      読後感はもちろん不快で、後味悪く、誰も救われないし、誰にも同情できないし、本当に何の救いもない小説で、ついていくのがやっとだった。これ、初村田作品にしてしまってよかったんだろうか(笑)もっとちゃんと調べて読んだらよかった。

       

      読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
      「ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー」
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        久々に読書を再開するので、最近の作家さんが全くわからず流行もわからないので、とりあえずは新しい出会いをコンセプトに本を選んでいる。それで今回はこの短編集なわけです。表紙がライトノベルすぎてためらったけど、斜線堂有紀さんがいるので興味本位で読んでみた。すると結構面白かった。

        歴史改変という、私の中ではめちゃんこ新しい概念に出会ってしまい、こういうのもSFになるんだと新鮮だった。

         

        パラケルススがスペインを音楽で侵略する話や、開高健がネット炎上する話や、式子内親王が英語で和歌を詠んでいたりとか、タイムスリップものの大江戸捜査網とか、20001万回も人生をやり直しさせられるジャンヌダルクのお話など。

         

        どの短編も面白かった。

        個人的に面白かったのは、「一一六二年のlovinlife」と「二〇〇〇一周目のジャンヌ」。突拍子もない設定だけど引き込まれた。

         

        読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
        「ここはすべての夜明け前」
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          YouTubeで紹介されているのを見て、めちゃくちゃ興味がわいたので予約注文までして手に入れた小説。

          どうしよう、最近の読書で一番ふるえたかもしれん。これがデビュー作とかまじか。すごい作家さんが出てきた。

          小説って、日本は竹取物語からはじまってすでにネタは尽きたであろうに、まだこんなにも面白い話が読めるのすごすぎん?SFの可能性がすばらしすぎる。

           

          文体が独特でひらがな多め。でもその理由はちゃんと作品に書いてある。

          思いつくままにつづられたという設定で話は始まるけど、面白すぎて一気に読んでしまった。休憩なし。短いので一気読みは不可能ではない。でも急いで読んでしまったからか、感情の処理が追い付かず、この切なさをどう処理していいかわからず泣いた。

          とても寂しい話だった。主人公の孤独に誰も寄り添ってあげることはできず、共感してくれる人もおらず、彼女は自分の劣化したメモリの中の愛しいひとたちを思い返して懐かしむ。

          長い人生を生きても、死から逃れられても、これじゃ何も幸せじゃない。

          幸せじゃない人生を生かされて、ようやく人として生きていこうと思った時には世界が終ろうとしてた。でも彼女は誰も何も恨んでいないし、このまま劣化が進んで壊れるまでは思い出を抱いて生きていくんだろう。それが切なくて切なくて涙が出た。こんな寂しい人生はない。かわいそうすぎるし逆にその孤独を想像してゾッとしてしまった。

           

          自分の中の「幸せ」とか「人生」とかに向き合う事になるお話。

           

          読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
          「3時のアッコちゃん」
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            評価:
            価格: ¥ 590
            ショップ: 楽天ブックス

            「ランチのアッコちゃん」読了から数年を経過して、久しぶりに続巻を読みました。

            懐かし〜。懐かしすぎてもうほとんど前作の内容を覚えていない(笑)。でも読み進めていくうちに、ああそうだった、と強烈なアッコさんキャラゆえに思い出すことが多かったです。そうだった。この本は最強のビタミン小説だったわ。

            一話一話勇気をもらえるというか元気をわけてもらえるというか。そういう本です。

            でも、この本を心底味わえて楽しめるのはアラサーまでかな・・・なんて思ったり。アラフィフにはこの手の内容は懐かしさというか、郷愁のようなものを感じてしまってですね。もう若くないんやなって思った。

             

            アッコさんの「東京ポトフ&スムージー」がどんどん大きくなっていくのが見どころです(違)。

             

            後半の作品はアッコさんが登場しないんだけど、お店が大阪に進出してたりして、気配を察する程度。

            アッコさんが出てこないのはもちろんだけど、逆に誰の力もアドバイスも借りずに懸命に頑張る主人公たちが良かったです。

            随分若い子たちの奮闘記なので、ガンバレ!負けるな!て応援しながら読んでしまいました。

             

            読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
            「フォン・ノイマンの哲学」
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              下手な小説よりよほど小説的で読みごたえがあり面白かった。

              理系ができない消極的文系の私でもちゃんと最後まで読めたので、文系のみなさん安心して読んでください。

               

              ファンノイマンがどれだけ優秀だったか、天才がゆえにいかに悪魔的だったか、ということが良くわかる本でした。

              個人的にはほんま早くガンで死んでくれてよかったかも。日本人の尊厳を地の底に叩き落すためには文化文明を徹敵的に破壊する必要があるため京都に原爆を落とすべきだって熱弁したくだりは恐怖でしかない。人に対する憐憫の情とかかけらもない。こいつ血も涙もないただの鬼やんけ。

              自分もユダヤ人で迫害されていたのに、他民族に対する同情はかけらもないというか。そもそも裕福な家庭に生まれ育ち、教育環境も恵まれていたので、本人の立ち位置としては貴族なんだと思う。選民思想というか、ユダヤはおいといて白人至上主義的というか。

               

              天才って思考が合理的すぎるから、情というものはほとんどなくなるんだよね。余計なものにカテゴライズされてしまうのかな。

              科学の追求という大義名分によって、現世における責任など負う必要はないという哲学により、原爆に水爆に殺りく兵器を作り出すことに抵抗はなく、被害想定も正確でほんま恐ろしいとしかいいようがない。コンピュータの父としても有名で、もし生きていたらもう少し宇宙開発なんかにも貢献できていたんかなって思ったけど死んでくれてよかったという思いの方が強い。

               

              読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
              「まず牛を球とします」
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                SF短編集。

                ネットの「カクヨム」からデビューを果たした方らしく、去年話題になったとか。

                育児を理由に読書をさぼっていたので最近の作家さんは全然知らないのです。できるだけ新しい人を読もうと思っている今日この頃。

                題名も面白ければ各話も面白い。SFっていうよりは、もっと違うジャンルのような話もある。

                 

                まず牛を球とします
                牛の話かと思いきやかなりぶっ飛んだ設定だった。倫理観に迫る。いきなりわけわからん世界観でイカれてる。大好き。
                数を食べる
                どういう頭ならこういう発想ができるのか謎。面白い。
                石油玉
                石油玉とは・・・。最初からよくわからんがなんか切なくて好き。
                家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています
                やばいやばい。なんかホラー
                ルナティック・オン・ザ・ヒル
                月と地球の月面戦争。酸素はあと8時間もあるのに2人が自殺したのは、月人にとってこの戦争は本土決戦だったからかなと合点がいった。コンピュータに戦争を数値化という形で表現され、その数字に左右される未来人のセンチメンタル。
                大正電気女学生

                時代は大正。未来と交信するお話。


                どんな人間の一生も、つまりは己へと向かう道だ。試行錯誤の道、かろうじて見える小道。だけど自分自身になれた者なんていまだいたためしがない。それでも百人が百人とも、自分自身になろうと努力する。 デミアン
                 

                改暦

                中国の元の時代の暦の話。なんかここまで読んでくるとこの著者は本当に題材が幅広く多彩な話を思いつくなと感心してしまう。


                考えれば考えるほど、己の生きてきた道は、他の何かによって決められたことばかりである。太陽や月が自身の行く末を選べぬように、人は自分の生きる道を選ぶことができない。法則によって算出された軌道を辿るのみである。

                 

                コンピュータに管理され、生きているのか生かされているのかわからなくなる人々が時々出てくるので気になりました。 節理とか条理とか、人の意志ではなくなにか大きなものに左右されるという世界観のお話多めで面白かった。 私が最近読んでる新しめの作品にただよう世界観は「人は己の意志で未来を切り開くのではなく、ほぼ偶然のなりゆきにそってなんとなくいきているのだ」みたいな話が多い。これが今どきの3,40代の作家さんの主流なのかな?一方、アニメや漫画は相変わらず「未来は俺たちの手で切り開く!」みたいな昭和のノリが多いけどね。漫画と小説で世界観が隔絶しているような気がします。

                読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
                「地図と拳」
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                  価格: ¥ 2,420
                  ショップ: 楽天ブックス

                  直木賞作品。

                  壮大で膨大な情報量、練られたプロット、世界観、知識量。

                   

                  日露戦争から終戦までの、満州を舞台に繰り広げられる歴史活劇で、だいたいは面白かったのだけど、あまりにも作りこまれていて、盛り込みすぎて、逆に中途半端感が否めない。広げた風呂敷をたたみきれず、粗削りな長編小説といった感じです。

                  読んでいると、前半あたりでは「よく調べてるんだろうな、作者の人はきっと頭いいんだろうな」という感じをひしひしと受ける。

                  石炭資源が、とか、ロシアと日本の当時の関係とか、中国国内の混乱具合とか読んでると、いかに中国国内の人間が外国人を恨んでいるかよく表現されていて、面白い。ふとジャッキーチェンやジェットリーのカンフー映画を思い出した。確かにあの時代、中国の人達は拳で鬼子を倒そうとしてるんだよな。銃を持った相手にもカンフーで立ち向かう勇敢な男たち。敵役はアメリカ人だったり日本人だったり。だから題名に「拳」を入れたのはうまいと思った。

                  他に気になるのは登場人物が多い点。その登場人物が微妙に他の登場人物と関わっていて、歴史も物語も、一人の主人公で作り上げられるものではなく、脇役に見えていた人物がある場面では主役だったりして、歴史とは主人公たちが複雑に絡み合って形成されるのであって、だからこそ争いが生まれ、守りたいものがあって、すれ違いを起こすのだ、という見方は共感するし面白かった。また、この話は基本的に父子と師弟という二つの軸で展開し、そこに史実なスリルとサスペンスと暴力を織り交ぜているので、全体としては面白い。

                   

                  でも、肝心の登場人物たちにいまいち共感できないところが残念だった。作者はこういう世界観を描きたいんだろうな、とか、今はこういう感情に読者を浸らせたいんだろうな、という意図は理解できるものの、「それならもうちょっとこの人物のことをここくらいまで掘り下げてくれないと、この展開はあっさりすぎて、納得できんわ」とか、「いやいや、その話はそこまで作りこむ必要ある?作りこみが露骨すぎて逆に滑稽やん。」とか、「あの時はここまで練り上げておいて、ここは放ったらかしなん?」「そんなとんとん拍子にうまくいくはずあらへんやろ」とか、あちこち突っ込みが満載なところがあって、壮大にしすぎたがためにスキが多く、終わりに向かうにつれ雑な感じが否めず、それがいまいち作品の世界観に浸りきることができない原因になってしまった。

                   

                  しかも、極めつけは最後のシーンがあまり好みではない・・・。

                  これは完全に私の個人的な趣味というかこだわりなので、どうしようもないのだけど。

                  昔愛した女と出会って当時をしのぶっていう展開は好きちゃうねんな・・・しかもこの作品、恋愛要素がそもそも薄く、全く胸熱な展開もないまま終わったはずなのに、その男女が国交成立前に密入国という危険を冒してまで会う必要ある???

                   

                  作者って恋愛経験ないんかなっていらんことを心配するくらいには突拍子もない展開でびっくりした。

                  個人的には、二人は終戦後の混乱のせいで一生会えないまま終わって、主人公が老年になって国交正常化した後に中国に渡り、女の子孫から神父の地図を受け取った方が終わりはかっこよかったと思う。男ばかりの話でハードボイルドだったので、最後までハードボイルドを貫いてほしかった〜。

                   

                  というわけで、いろいろと納得できない感じの読書に終わりました。

                   

                   

                   

                   

                   

                  読書 * comments(0) * - * - - * moji茶
                  「あのこは貴族」
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                    「上級国民」という言葉が生まれて間もない昨今ですが、そういう地位の方々を題材にした小説です。

                    面白かった!

                     

                    ヒエラルキーの上位と下位は一周回って同じなのが面白い。

                    最上層(東京生まれ東京育ちのお金持ち)と最下層(ひなびた田舎)の人間は、実はどちらも狭い世界の中で、自分たちを普通と信じて生きている。それなのに両者の間には超えがたい壁があって、永遠に交わることはない。この微妙な世界が見事に表現されている。

                     

                    上流階級の方々のお正月や各節句の過ごし方、美術館やお芝居などの教養など。音も立てず紅茶を飲む作法。ホテルの4500円のアフタヌーンティーを嗜む日常。

                    庶民が必死に勉強して名門大学に通っても、決して手に入らない日常、超えられない壁。格差。同じ日本に住んでいるのに、一生理解しあうことなく終わるんだろうな。というあたりが読んでいて共感できるし面白かった。

                    海外の上流サロンでも、差別撤廃、自由を謳いながら、決して黄色人種と黒人の入る余地はないという話をどこかで読んだ。無自覚に排他的な偽善的種族、それが上級国民。言い過ぎか(笑)。でも簡単に言うと、自分が友達になりたいと思う人は結局自分と同じような育ちの人になるよね、という話なんだと思う。金銭感覚とか、お友達のおうちにおよばれした時の作法とか。好きなスポーツとか。そういうのを答え合わせしていったら、結果的に同じような階級でつるんでるというだけのお話。

                     

                    恋愛論の参考に「心中天の網島」が出てくるところはぶっとんだけど、上流階級の大学生は伝統芸能の謡曲もたしなんでいるという設定だったのか、はたまた、作者の趣味だったのかは推し量れなかった。(笑)

                    まあでも、着物雑誌とか読んでると、「着物を着てお芝居を見に行こう!」という企画はよくあるから、「セレブ=着物=伝統芸能」という繋がりなんかな。

                     

                    主人公の華子の世間知らずっぷりや困惑っぷりは好き嫌いがわかれるだろうけど、私は結構好きで、応援しながら読んだ。

                    結婚をゴールとして捉えて、必死に幸せを求める華子。

                    華子よ、結婚はゴールやない。新たなステージに移るだけなんや!幸せになるとは限らんのやで!と心の中で突っ込みを入れてしまった。やきもきする場面もあったけど、そういうの込みでエンタメ小説だったな。

                     

                    結婚後も落ち着かない華子の姿も読んでいて面白かったし、最後はそういう展開になるのか、と意外なところもあり、納得のところもあり。別れたあとに二人が本音を話し合うシーンはよかった。「住む世界が違う」という言葉をひしひしと感じられるシーンだったと思う。

                     

                     

                     

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                    「テスカポリトカ」
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                      価格: ¥ 2,310
                      ショップ: 楽天ブックス

                      『マスターキートン』とか『スプリガン』を青春期のバイブルとして生きてきたオタクは今、申し分ない名作と出会いました。

                      やばい。今年度一番面白かったし泣いたかもしれん。

                      直木賞と山本周五郎賞のダブル受賞。

                      初めはメキシコの殺伐とした空気、麻薬、殺人、アステカの神話が織り交ざったグロ系小説で、いったいこれのどこが山本周五郎やねんと思いながら読んでいましたが、中盤から様子が変わってきて、ラストに向かうにつれて涙がとまらない。こんなに切ない小説があるだろうか。うおおめっちゃ面白かったからみんな読んで!

                       

                      結局バルミロは祖母の呪縛から解き放たれることはなく、一方コシモはバルミロの洗脳から解放され、新しい世界を生きていく。残酷で恐ろしい話だったけど、純真な少年が最後助かって、希望を残すラストはすごくよかった。

                      心臓をとりだすシーンとか、黒魔術とか話の前半部分も大好物。

                      でも、読みどころは中盤、バルミロが日本にやってきてからになると思う。最初はコシモはこのままバルミロの殺し屋として活躍し、世界を悪で埋め尽くすんかと思いながら読んでた。それはそれで面白いし。殺戮シーンもすごくよかった。北野監督のアウトレイジの世界だった。でも、でもな・・・

                       

                      「わたしが求めるのは憐みであって、いけにえではない。」とはどういう意味か、行って学びなさい。

                       

                      カヌーの上で二人きりになるシーン。

                      パブロの涙ながらの説得はすごくぐっときて、一緒に泣いた。そうだ。キリストが十字軍を作ったんじゃない。キリストが侵略と略奪を許したんじゃない。大事なことを見落としてるんやコシモ、お前が見ている世界は狭すぎる。

                      大切なことはお前の嫌いな聖書にだって書いてあるんや・・・コシモ・・・目を覚ませ・・・

                      決死の覚悟のパブロは最後まで優しい男で、その優しさがコシモを導いていく。

                      パブロのコシモに対する感情はもう師匠というより父親やん・・・。コシモはずっとバルミロをパドレ(父)として慕って、崇拝してきたけど、最終的にパドレの呪縛から解き放たれたのはすごく感動的で、パブロのこの言葉なしにはあり得なかった奇跡で、ああ〜パブロ、ほんまにお前は父が遣わした天の使い・・・。ほんまありがとう。両手でおがんだ。コシモにとって本当の父親はパブロなんだよぉ〜。それがちゃんとコシモにも伝わってるのがラストで描かれているのも、ペンダントの名前についても、作者ありがと〜!てまた両手でおがんだ・・・。コシモはたくさんの人を傷つけたり殺したりしたから、追っ手がいたり、きっと日陰者として生きていくかもしれんけど、決してバッドエンドじゃないところもすごくいい話だった・・・。

                       

                      めっちゃ人死んでるけどね。

                       

                      読後しばらく思考がまとまらなくて、今でも感動を文字化することができないんだけど、殴り書きみたいにして書いた。

                       

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                      読書 * comments(0) * - * - - * moji茶