2024.03.05 Tuesday
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SF短編集。
ネットの「カクヨム」からデビューを果たした方らしく、去年話題になったとか。
育児を理由に読書をさぼっていたので最近の作家さんは全然知らないのです。できるだけ新しい人を読もうと思っている今日この頃。
題名も面白ければ各話も面白い。SFっていうよりは、もっと違うジャンルのような話もある。
まず牛を球とします
牛の話かと思いきやかなりぶっ飛んだ設定だった。倫理観に迫る。いきなりわけわからん世界観でイカれてる。大好き。
数を食べる
どういう頭ならこういう発想ができるのか謎。面白い。
石油玉
石油玉とは・・・。最初からよくわからんがなんか切なくて好き。
家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています
やばいやばい。なんかホラー
ルナティック・オン・ザ・ヒル
月と地球の月面戦争。酸素はあと8時間もあるのに2人が自殺したのは、月人にとってこの戦争は本土決戦だったからかなと合点がいった。コンピュータに戦争を数値化という形で表現され、その数字に左右される未来人のセンチメンタル。
大正電気女学生
時代は大正。未来と交信するお話。
どんな人間の一生も、つまりは己へと向かう道だ。試行錯誤の道、かろうじて見える小道。だけど自分自身になれた者なんていまだいたためしがない。それでも百人が百人とも、自分自身になろうと努力する。 デミアン
改暦
中国の元の時代の暦の話。なんかここまで読んでくるとこの著者は本当に題材が幅広く多彩な話を思いつくなと感心してしまう。
考えれば考えるほど、己の生きてきた道は、他の何かによって決められたことばかりである。太陽や月が自身の行く末を選べぬように、人は自分の生きる道を選ぶことができない。法則によって算出された軌道を辿るのみである。
コンピュータに管理され、生きているのか生かされているのかわからなくなる人々が時々出てくるので気になりました。 節理とか条理とか、人の意志ではなくなにか大きなものに左右されるという世界観のお話多めで面白かった。 私が最近読んでる新しめの作品にただよう世界観は「人は己の意志で未来を切り開くのではなく、ほぼ偶然のなりゆきにそってなんとなくいきているのだ」みたいな話が多い。これが今どきの3,40代の作家さんの主流なのかな?一方、アニメや漫画は相変わらず「未来は俺たちの手で切り開く!」みたいな昭和のノリが多いけどね。漫画と小説で世界観が隔絶しているような気がします。